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原案:司法書士 相澤 剛 更新
時効になっている借金は、時効の援用をすることで消滅させることができますが、この時効の援用は自分でできるのか、気になる方も多いでしょう。
結論を先に言うと、借金時効の援用はご自身でやることもできます。
ただし、その場合はミスのないよう注意しながら進めていくことが大切です。
やるべきことをやらなかったり、時効援用通知書の書き方にミスがあったりすると、時効の援用に失敗し、借金の督促がはじまる可能性に注意が必要です。
こちらでは、消滅時効援用の方法、時効援用通知書の書き方と注意点を解説していますので、自分で時効援用をしたいと考えている方はぜひ参考にしてください。
借金時効の援用は、以下の手順で行います。
1時効が成立しているか確認する
2時効援用通知書を作成する
3時効援用通知書を内容証明郵便で送付する
以下、それぞれについて説明します。
時効援用の手続きを始める前に、まずはその借金の時効が本当に成立しているか、確認することが大切です。
借金の時効を確かめる方法としては、債権者からの請求書や督促状の弁済期限をチェックする方法、信用情報を取得して確認する方法、そして取引履歴を取得して確認する方法があります。
借金時効の成立時期も、貸金業者や借金時期によって異なるため、それぞれに応じて確かめる必要があります。
消費者金融やクレジットカード会社からの借金は、弁済期(借金や利息の支払期日)から5年後。 ※民法改正の施行日(2020年4月1日)前の債権の場合 個人や会社組織でない信用金庫等からの借金については、10年で時効(借り手が商人の場合は5年)
信用情報機関の信用情報の取得(本人開示請求)については、以下のページから確認してください。
参考CIC
参考JICC
参考KSC
借金時効の成立が確実なことを確認できたら、時効援用通知書を作成します。
借金の時効援用通知書を自分で作成する場合、インターネットからダウンロードできるWordやPDF形式のテンプレートを利用するのが便利です。
時効援用通知書の書き方ですが、特に決まった形式はありません。
ただ、必ず書くべき情報というものがありますので、これについては以下「時効援用通知書の書き方」で詳しく解説します。
作成した時効援用通知書は、配達証明付き内容証明郵便で相手方に送付します。
内容証明郵便で送ることによって、時効援用通知書を相手に送付した証拠が残り、相手が裁判を起こしたときの反論を封じ込めることができます。
また、配達証明を付けることで、後日争いになった際、いつ誰に対して配達したかという事実を証明することができます。
内容証明郵便で通知する場合、書面の字数・行数の制限がありますので注意してください。
縦書き |
---|
1行:20字以内 |
横書き |
1行:20字以内 |
1行:13字以内 |
1行:26字以内 |
内容証明郵便で送る書面は、3部(債権者に送付するもの、郵便局で保管するもの、控え)用意します。
ちなみに、すべての郵便局が内容証明郵便を扱っているわけではないので、該当する郵便局を事前に調べておくようにしましょう。
時効援用通知書の書き方ですが、これは何も難しいことはありません。
書くべき内容をしっかり押さえておけば、間違えずに書いて送ることができます。
時効援用通知書では、以下の事項を記載するようにします。
時効援用通知書の書き方
通知書を送付する日付
相手方の住所・会社名
自分の住所・氏名
債権を特定する内容
時効の完成を伝える文言
時効の援用を主張する文言
信用情報機関から事故情報の削除を依頼する文言
通知書を送付する日付は、必ず書くようにします。
通知書の送付日がなぜ必要かというと、通知書が時効の成立後に送られてきたことを相手方に主張できるからです。
送付の日付がない場合、債権者に「この通知書が送られてきたのは時効成立前か後かわからない」と主張されれば、争いが複雑化する問題が生じます。
そのような主張を許さないためにも、日付の記入は忘れず書き留めましょう。
債権者の社名や住所などの情報も記載します。
時効を迎えている借金の借入先で、時効援用通知書を送付する相手方の住所と会社名です。
請求書や督促状などがあれば、そこから会社名や住所を確認して書くとよいでしょう。
社名は、本社名と支社名どちらでも問題ありません。
自分の住所や氏名の情報も必要です。
氏名は、ふりがなも記入します。
取引時期によっては旧姓や旧住所の情報もあったほうがよく、必要に応じて記載してください。
できれば生年月日の記入もあったほうがよいです。
生年月日の情報があることで、同姓同名の人がいる場合の特定が容易になります。
債権の内容を特定できる情報の記載も必要です。
具体的には、以下のような情報で債権は特定できます。
債権を特定する内容
契約番号(会員番号)
借入日
借入金額
債権者の会社名・住所・代表者名
債務者の氏名・生年月日
このように債権を特定させる情報はさまざまですが、実際には契約番号もしくは会員番号さえわかれば、それで足りることが多いです。
そのため、借入金額や借入日がわからない場合は、契約番号や会員番号をきちんと記載するようにしましょう。
反対に、契約番号や会員番号がわからない場合は、借入した当時の自分の住所や氏名、生年月日を記載すればそれで問題ありません。
すでに消滅時効が完成している事実を伝える文言を書くようにします。
ここでは、具体的に最終返済日とそこからの経過年数を書くようにしてください。
最終返済日の平成23年4月30日から10年以上経過しており、時効が成立している
消滅時効の完成を伝えるだけでなく、時効を援用する意思を明確に伝える文言も必要です。
時効の効力は、時効を援用する意思を伝えてはじめて確定します。
この一文がないと、時効援用通知書として受理されない恐れが強く、必ず書くようにしてください。
書き方は何も難しく考える必要はなく、「本通知書をもって借金の時効援用の意思表示をします」と書くだけで大丈夫です。
信用情報機関に登録されている事故情報の削除を依頼する一文も添えておきましょう。
書いていなくても信用情報機関のルール上、削除されるのが慣例ですが、念のため書き添えておくと安心です。
上記の情報を踏まえ、実際に時効援用通知書を書くとなるとどのような書面になるのか、サンプルを載せておきますので参考にしてください。
時効援用通知書の送付により、債権者から時効が成立した通知等、書面が届くのは稀です。
ほとんどの債権者は、書面で結果の通知を行うことはありません。
連絡がなかった場合、結果はどのように確認すればよいのでしょうか?
時効の援用が確定したか調べる一般的な方法は、電話で直接確認することです。
債権者の電話番号に電話をかけ、相手が出たら、「先日送付した時効援用通知書についての回答を聞きたい」と伝えてください。
本人を特定する個人情報を聞かれますので、答えたら調べて回答してくれるはずです。
時効援用通知書を送付しても、何らかの理由で時効が成立していない可能性があります。
時効が成立していなければ、相手が債権の存在に気づき、借金の返済請求が再開される可能性が高くなります。 そのような事態を回避するためにも、時効援用通知書の作成前に時効を迎えていることをきちんと確認し、通知書もミスなく作成することが重要です。
自分で消滅時効の援用をする場合、これだけは押さえておきたい注意点を説明します。
時効の援用は、時効が確実に成立していることをもってはじめて有効となります。
そのため消滅時効が経過していることの確認が欠かせません。
時効は、単に時間が経過しているだけでは成立しないケースがあります。
たとえば、
裁判を起こされている
債務を承認している
強制執行されている
催告されている
などの事案が発生している場合、たとえ最後の返済から5年(債権によっては10年)経過していても時効は成立していません。
債権者のほうも、時効になって債務逃れを許さないために、このような時効を阻止する手段を打ってきます。
時効が成立していないのに時効援用通知書を送ってしまうと、かえって状況を悪化させるリスクに注意が必要です。
「時効が成立しているかどうか自信がない」
そんな場合は、ミスなく手続きを任せられる弁護士もしくは司法書士への依頼のほうが安心でありおすすめです。
時効が成立しているかどうかの確認は、慎重に行います。
無難な方法は、先述の通り、請求書や督促状からの確認、信用情報の取得、取引履歴の取得があります。
くれぐれも、債権者に電話をかけて直接確認する方法は避けてください。
相手としては貸したものは返してもらわなければならない立場であり、仮に時効が成立していてもそう簡単に時効を認めるとは思われないからです。
また、知らない間に裁判を起こされていたり、過去に債務を承認していたりすると時効は成立していませんし、これらの確認も困難です。
時効の成立を確かめる方法がなく、あっても不安な場合は、やはり弁護士・司法書士に相談するのが最善の方法です。
時効援用通知書は、必ず内容証明郵便で送付します。
普通郵便で送ったり、電話口から口頭で伝えたりしても時効の援用はできないので注意してください。
時効援用通知書を配達証明付き内容証明郵便で送付すれば、相手も無茶な反論はしてこないですし、裁判を起こされたとしてもこちら側に有力な証拠が残り、勝つ見込みは高くなります。
借金時効の援用は自分でもできますが、万が一失敗すると借金の取り立てが再開するリスクもあり、注意が必要です。
どうしても不安な場合は、無理をせず、時効援用の専門家である弁護士・司法書士に依頼するのがおすすめです。
自分でするのと比べ費用はかかりますが、以下のようなメリットがあります。専門家に依頼するメリット
時効が成立しているかどうか確実に調べてもらえる
内容証明の送付後の時効成立を確かめてもらえる
時効が成立していない場合、債務整理や返済についての交渉を任せられる
借金の消滅時効の援用は、自分でもできます。
ただその際、本当に時効が完成しているのか、きちんと確かめる必要があります。
時効が完成していないのに時効援用通知書を送ると、相手が債権の存在に気づき、借金督促が再開する可能性が高くなります。
そうなると時効の援用に失敗し、そこからさらに5年、10年待たないと時効にならない点にも注意が必要です。
消滅時効の援用の失敗を避け、確実に時効を完成させたいのなら、時効援用のプロである弁護士・司法書士に相談してください。